NY恋物語

確かに彼なら秀明がいるよりも
場が盛り上がる、というか
盛り上げてくれるだろう。
華やかな場に相応しい最高のゲストだ。


とは言え、こんな事は
旧知の間柄だからこそ、なせる業。
そうでなければショービズ界きっての売れっ子に
そうそう簡単に代役など頼めるはずがない。


「じゃぁ今日は…始めからそのつもりで?」
「ああ」
「だったら前もって言ってくれればよかったのに!」


「悪かった」と小さく笑った秀明が
座ったまま右手を私の腰に回して
左手で私のうなじを引き寄せた。


「会いたかった…」


吐息まじりのとびきり甘く切ない秀明の囁きが
私の唇をかすめ、そのまま重ねられた。
秀明のキスは、それまでの不安も
ネガティブな気持ちも
全て溶かしてしまうように熱くて甘かった。
小さく起こった拍手と口笛に
囃し煽られたせいなのか
柔らかく私の唇に触れては食む秀明のそれは
何度も角度を変えながら
しばらく離されることはなかった。

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