本気の恋の始め方

唐突な質問に内心戸惑いながらも首を傾げる。



「週末合コン参加しません?」

「え……」

「あ、合コンって言っても社内合コンで、他部署とのちょっとした懇親会って感じなんですけど~。うちって美人ぞろいだって人気なんですよね~」



合コンだろうが懇親会だろうが、さすがに今の私には、そんな元気はない。



「いや、やめとく。体調もまだ完全じゃないし。誘ってくれてありがとう」



丁重にお断りさせてもらった。



「そうですかぁ……。まぁ、潤さんがいなかったらライバルが減るんでそれでもいいんですけど~行けそうになったらまたいってくださいねっ」



咲子ちゃんはどこまで本気なのかわからないけれど、楽しげに微笑み、そしてきゃぴきゃぴとロッカーを出て行く。


少し艶感のあるリップを丁寧に重ね、私も彼女のあとを追うようにマーケティング部へと向かった。





< 348 / 446 >

この作品をシェア

pagetop