本気の恋の始め方

「なんだか健全すぎてかえって怪しいわね。気をつけなさいよ、潤」




お昼休みの時間がいつもより遅れて、社食はいっぱいで。

どうしようかと考えていたところに、同じようにやってきた鮎子(アユコ)さんと社食の前で鉢合わせた。


鮎子さんは秘書課のトップ、秘書室長だ。

一ノ瀬ホールディングスで働く女子の、一番の花形でもある。


なぜ一般職の私が彼女と知り合いかというと、通勤電車の中で痴漢にあっていた私を助けてくれたのがたまたま彼女で。

それからなんとなく仲良くなって、あれこれと私の世話をやいてくれる、とても頼もしいお姉さん的な存在になった。


社内の通称は「猫また鮎子」

猫もまたいで通る、鮎子、と言われるほどのつわもの。



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