本気の恋の始め方
そんな「オトコオンナ」な私も、人並みに初恋があった。
同じマンションの同じフロア、お向かいさんの塁(ルイ)は、美人のお母さんにそっくりな、女の子に間違えられるほどの美少年。
やんちゃな私と大人しい塁。
小学校低学年の頃
彼の誕生日に、大量のだんご虫をインスタントコーヒーの空き瓶につかまえてプレゼントしたら、真っ青になりながらも受け取ってくれたっけ……。
たぶん、私はこのころから塁のことが好きだったんだと思う。
優しくて、かわいくて。自分とはあまりにも違う年上の塁に恋をしていた。
だけど私は、周囲からもまるで女扱いされてなかったから、この気持ちが「恋」だってことになかなか気付けなかったんだ。