本気の恋の始め方
るうくんが羨ましいだなんて。
思わぬ言葉にびっくりしてしまった。
「そ、そんなことない。るうくんにしたら、きっとずっといい迷惑だったに決まって……」
「迷惑なんてありえません」
千野君はうつむく私の顔をのぞき込んできて、それからにっこりと微笑みながら私の頬に手を置いた。
「潤さんの大事な、たった一つの初恋じゃないですか。苦い経験があったのかもしれないけど、その思いまで否定することはないと思います」
「千野君……」
初恋は実らないと言うけれど、るうくんが優しいから、悲しいくらい諦められなかった。
そんな自分の思いは、ずっとだめなものだって思ってたから……
気休めかもしれないけど、私を励まそうとしてくれる千野君の言葉に、本気で泣きそうになってしまった。