話し屋 (短編集)
「・・なんでそう思うの??」


一瞬だけ動揺を見せてから悠矢先輩は冷静に聞いた。



「弾いている時の表情が、切なそうだから・・。」


「ハハハ。バレてたんだ・・。綾瀬って思ったより鋭いね。」



と少し照れながら言う。



「・・へへへ。女の勘を甘く見ちゃダメですよ!!」



と私はわざとおどけて言った。



そうしないと、今にも瞳から、涙があふれそうだったからだ。



本当は、ほんの少しだけ期待していた。


悠矢先輩が、「何言ってるの!!これが、俺の恋の曲の訳ないじゃん!!」って呆れながらそういってくれるのを・・。




でも、現実は、私が悠矢先輩が好きで、悠矢先輩は他の人が好きだというのが分かっただけだった。


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