SEXOFFLINE~セックスオフライン~


「この傷は消さないの?」

その昔、ベッドで和歌の額に触れながら朝田が言った。

和歌の左の眉尻には、少し目立つほどの傷がある。

「ああ、これ?」

「ちょっと目立つよね?和歌は綺麗なんだから、もったいないよ」

「そーかなぁ?チャームポイントにならない?」

朝田は「あきれた」というジェスチャーをして、それ以上話題にしなかった。

その傷は和歌が和歌である証だと自分では思っているのだが、周りの人間は男女を問わず、「整形手術で目立たなくすることが出来るから、はやく処置した方がいいよ」と、言う。

確かにそんな傷跡に執着する方が変わっているのだろう。

だがこの傷跡には、和歌にとって大切な思い出がある。


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