青空にさよなら




「蒼唯さんね。来てくださったのね」


女の人は、あたしのもとに駆け寄ってくると、嬉しそうに笑顔を浮かべる。


でも、その目には涙が光っているようにも見えるんだけど、気のせいなのかな。


あたしが、ついじっと見つめていると、女の人は「ああ、ごめんなさいね」と慌てて自己紹介をしてくれた。


「縁です。碧の母です」


あ、あの手紙を送ってきてくれた人だ。


この人が、碧のお母さん……。


碧が女の人になっただけ、というぐらい本当によく似てる。碧はお母さん似だったんだ。微笑んだ時とか、碧そのものと言っていいぐらい。


「あの……この手紙を読んで、来ました……」


「ありがとう。良かった、記憶が戻ったのね」


碧のお母さん……縁さんも、あたしが事故のショックで記憶をなくしていたことを知っていたらしい。


あたしは頷いて、それから深々と頭を下げる。


「遅くなってしまってすみません。三回忌にも間に合わず……」


「謝らないで。こうして来てくださっただけで嬉しいわ」


優しい声が、あたしに頭を上げさせるように言ってくれる。
穏やかな口調も碧を思わせる雰囲気で、あたしは少し胸が苦しくなった。


「よかったら、お線香あげていって」



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