青空にさよなら




結局、お母さんにはやっぱり勝てなかった。


渋々学校へと行く準備を始める。


「朝ごはん食べてくでしょー?」


「時間ないからいらない」


「あんたがグズグズしてるからでしょ!」と台所のほうからお母さんの小言が飛んできたけど、聞こえなかったふりをした。


着たくもない学校の制服へと袖を通し、身支度を終えると、あたしは憂鬱な気持ちのまま玄関を出た。


あたし、川原蒼唯(かわはら あおい)は、高校1年生。


いわゆる華の女子高生というやつなんだけど、あたしは毎朝のように学校に行くのをしぶる。


理由は簡単。学校でいじめられているからだ。


お母さんもそれは知っている。
それでも、お母さんはあたしを叩き起して、笑顔で「いってらっしゃい」と言うんだ。


どうしてわざわざいじめられに行かなきゃいかないんだと思うけど、あたしのためにあえて厳しく言ってくれてるんだと頭ではわかっている。


それでもキツイものはキツイ。


でも、家に帰るまでの辛抱だし、勉強だけやっていればいいと自分に必死に言い聞かせて一度も休むことなく頑張ってきた。


今日まで、は……。



< 3 / 226 >

この作品をシェア

pagetop