花街妖恋
 火事から約半年後。


 周りの置屋や茶屋が相当数新しくなった花街の大通りに、人だかりができていた。

 建て直した華龍楼から、禿が出てくる。
 その後ろに続く人影に、集まった人々は、わぁ、と声を漏らした。

 タツに傘を差し掛けられて姿を現したのは、玉菊だ。

 今までの天神のナリではない。
 帯を前で五角形に結び、黒塗りの三枚歯下駄。

 店の前で一旦立ち止まると、玉菊はおもむろに足を踏み出した。

 内八文字。

 正式な、太夫道中である。
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