座敷わらしのしのぶちゃん♪
私は今や存在感0である事を武器に、今日もキャストの仕事に励む。


こんな私でも必要としてくれる人がいる。


ううん、こんな私だからこそ必要とされるんだって今は素直に思える。


自信を持とう。


私を必要としてくれる人達の為にも


もっと自分の価値を認めてあげてもいいんだよね?


さあ、今日もこの存在感0を最大限に活かしてくるとしよう。


事務所のドアを開け外へ出ると、不意に誰かの視線を感じた。











『クスクス、解らない?私だよ。』


よく見るとエアーピープルのドアの前に子供が立っている。


もしかして?


『クスクス、そうだよ。ずっとここにいたんだよ。やっと気づいたね。』


本当に?


『本当だよ。だからこれからもよろしくねーーーー


ーーーーー座敷わらしのしのぶちゃん♪


クスクスクス………』










「いや、座敷わらしはあんたでしょうが………。」


まっいっか。


そう呟くと、急いでビルの階段を掛け下りる。


ビルの外に出ると、日差しが眩しくて思わず目を細めた。


「さあ、今日も宇宙レベルの存在感0を見せてやるっ!」


初夏の風を受けながら、私は胸を張って颯爽と歩き出した。






『座敷わらしのしのぶちゃん♪』









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