A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「その調子だよ。今頃、悠達は温泉“食ってる”ぞ」
「え?」


 ニコニコしながら言う彩の言葉の意味が、またわからない。


「あいつらこないだの帰郷でパワー満タンにできなかったから。こういう所で“気”を養うの」


 もっと複雑なからくりなのだろうが、彩の頭の中では、こんなふうに簡潔に整理されているらしい。


「ここはね、悠達の住んでいる世界に近い“気”がたまる場所なんだ。うちのお店と同じだね」


 そういう場所は多々あるらしい。


「だから温泉“食べる”なの。我ながらうまいよなぁ、この表現」


 ケラケラ笑う彩に、美樹が聞いた。


「ねぇ、私がここを選ぶのを、彩は知ってた?」


 彩は首を横に振る。


「ぜ~んぜん。でも、あの婆さんがいた時点で分かったけどね」
「・・・何を?」
「あぁ、今日はここにくる予定だったんだなぁって」


 でも、決めたのは確かに自分。
 美樹にはどうもこの部分が引っ掛かる。
< 109 / 313 >

この作品をシェア

pagetop