A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「あいつらにとっちゃ、俺達の方が悪者なんだろうな」
「そうだね、きっと邪魔な存在なんだろうね」


 だけど、と悠は少し困ったように。


「これじゃ、思うように動けないな」


 一番奥の埠頭の倉庫。
 その屋根の上。
 さっき悠が感じた気配の源。
 1人のアヤカシが、腕組みをしてこちらを見下ろしていた。
 薄い輪郭。
 かろうじて人の形をしているが、それは実体化してはいなかった。
 当面の相手は、ここにいる人間ではなく、このアヤカシ。
 だが、その力は、今までの相手とは違う。
 実体化している以上、こちらの方が不利ではあるのだが。


「やりにくいな」


 諒も同じことを考えていたらしく、少しイラついたように言った。
 目の前の人だかりは、徐々にこちらに近づいてくる。
 心配な要素は、いくつか重なってはいるが。
 アヤカシは、倉庫の屋根からゆっくりと地上に降りてきた。
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