あいしてる


大学のサークルで知り合った、ひとつ年上の彼と生活を共にすることを決めたのは、街中にクリスマスツリーが飾られる季節のことだった。


殺風景だった彼の部屋に、赤やピンクの色をした雑貨が居場所をみつけ、自分たちの存在を主張する。


「これからはずっと一緒ね」

終電間際、別れを惜しまなくてもよくなった。

人肌恋しくなる夜でも、隣には寝息をたてる彼がいる。


もう、寂しい想いをしなくてすむ。


うまくやっていけると思った。


ままごとみたいな生活が、このまま続いていくんだと信じて疑わなかった。

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