Realtime:kiss
「例の社内メールの件の直後だったと思うよ?
まぁ、あの子達すんごくひつこかったから、先輩には先輩の考えがあるんだと思ってあまりその事に首を突っ込まなかったんだ。

そしたらここ数日秘書課の女子をとっかえひっかえしてるじゃん、もう驚いちゃって……
あんな先輩見たの初めてで……」



里中君の声が段々遠くになっていた。


どうやって携帯を切ったかも思い出せない程、私には里中君の言葉が衝撃的だった……




真意を確かめたい。



そんな衝動に駆られ、私は蒼佑の番号を電話帳からスクロールし、通話ボタンを押した。


なかなか繋がらない。



でも声が聞きたい、その一心で何度も何度もかけ直した。



『……はい、…』


やっと出てくれた。



ホッと胸をなで下ろしたのも束の間…



新たな衝動が私を襲う。



『……はぁ、もうかけてくんなっつっただろ?未練がましいんだよ、お前…』



嘘………



電波が途切れる前、聞こえてきた声…



『蒼佑ぇ?誰?まさか咲宮さんじゃ…

『ばぁか、あんな女とはとっくに切れて……』
ブチ………ツウツウツウ…








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