Realtime:kiss
毎年の事なのだが、この時間になると決まって、どこからともなくビールとつまみが出てくる。


誰が用意しているのか、まさか、経費で落としてる?などと不思議に思いながら、しかし、年明け、小口をチェックしてみても、出金された形跡はなく、でも誰もその事にはふれないのであえて口にする事もなく、また、この季節が来たと思う私が居る。



課長が当たり障りのない挨拶をして、部長が締める。


毎年のこと・・・


その後の経理課は宴会場と化す。


私もほろ酔いで楽しんでいると、ポケットの振動に気付き、室外へ出る。

ー山中 圭吾ー

なんで山中さんから?


頭を捻りながら携帯を耳に当てる。


「はい、咲宮です」

「奈緒ちゃん?山中です。今大丈夫かな?」

「はい、どうかされたんですか?」

私の問いに山中さんは何やら煮え切らない。

「いや、特に用がある訳じゃないんだ・・・
あっ、あのさぁ、今夜って、奈緒ちゃん、なんか予定入ってる?」


いつもと違い、切れ味が悪い。

こういう時は決まって・・・






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