Realtime:kiss
俺は爺さんに食ってかかった。


「そんな。爺様の勘違いかも知れないではないですか!
何故そうだと言い切れるのですか」と・・・



『お前は世間知らずじゃな。
なぁ蒼佑、お前は爺様の仕事がどういうものか、しっておるか?』


爺さんは、昔は腕の良いフレンチのシェフで、その後後継者を育て上げ、店を任せて引退した。


引退後は経営に回り、店を大きくしていった。


今や全国100店舗を超えるフレンチの大型チェーン店を経営するやり手の実業家だ。


『ワシはお前に後を継いで貰いたい。
その事を圭子に伝えた途端、手の平を返したように、こんな事を言い出した。

“何のために、あんな事までしたのになぜ貴ではないのか。

蒼佑さえ現れなければ、この家は私達の物になったのに”


と・・・


白状したんじゃよ、遠い昔、お前の父親に睡眠薬を一服盛り、犯した事を・・・

そんなスキャンダルが世間に知れて見ろ、うちはあっという間に潰れる。

だから手切れ金を渡し、この家から追い出した。


あの女、スンナリ金を受け取って、ワシも養子縁組みの解除の手続きをした。


今後一切、あの親子の話はするな、いいな』






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