威鶴のmemory


俺の名前が『透眞』。

透明、純粋、まこと……漢字の意味は、どれも俺には似合わない。

それなら少しくらい濁っている方がいい。

毒もある。

牙も向く。

ニヤリと、狂気に満ちた笑みを向ける方がにあう。



──蛇だ。

白く濁った、決して透明でも普通色でもない蛇。

そうして白蛇と名付けたチームは、どんどん大きなチームになっていった。



もう、俺ですら止められないほどに。



基本は喧嘩を楽しむチームだった。

そのうち女が寄って来るようになり、女遊びにも手を出した。



楽しい……なのにイライラする。

毎日好き勝手やって、喧嘩に勝って、快感を得る。

それでもなにか足りない。

なんでだ?






なぜか、空っぽな気がしたんだ。








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