短編集～甘い恋～

職員室前、
「お前、武部になにすっか聞いてこい」
武部＜ﾀｹﾍﾞ＞とは、あたしたちの担任の名前だ。
「は？なんで。あんたも入ればいいじゃん」
「職員室は嫌いだ」
「……はぁ。仕方ないなぁ。逃げんなよ？」

念入りに釘をさし、あたしは職員室へ入った。

「せんせー、単なる言い合いをしてた天海でーす」
「おぉ、来たか来たか。ん？夫はどうした」
「…先生、またそうやって呼んだら殴りますよ♪」
「…すまん」
「藤宮のアホは職員室が嫌いらしいんで廊下で待ってまーす」
「ブハッ、そうか（笑）」

だよね、笑うよね。

「で、なんでわざわざ残したりしたんですか」
「おー。実は取ってきてほしい資料とかがあってな」
「は…資料とか？」

そんなん自分で取りに行けっつーの！

「平成××年って書かれた段ボールにいろんな資料が入ってんだ。
それと、保護者会で使う資料が机に置いてあるらしい。
第２資料室にあっから、よろ☆」

…なにが『よろ☆』だぁぁ！

「…はーい」

あたしは適当に返事をし、職員室をでた。