逢い死て
失楽の刻


聴いたこともないロックの激しい曲調と、耳元で打ち鳴らされるマラカスやタンバリンの音に、鼓膜が破けそうで。
安っぽいソファには隙間なんて無くて。隣で髪を振り乱しながら盛り上がる、名前も知らない女。さっきから肩や腕や尻が当たっているのにもお構い無しに。否、気付いていないのか。



………なんで、私は、こんなところに来ちゃったんだろう。

薄暗いカラオケルーム。

ドア近くの空いたスペースで躍り狂いながらロックを熱唱しているのは、私をここに来させた張本人――――夕都(ゆうと)はいわゆる、私の恋人というやつだ。




< 1 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop