彼女はハラハラ時計
そうだよな。お見合いだからな、何か喋らないといけないよな。

「いえいえ、とんでもありませんよ片桐巡査。俺は…いえ失礼。わたくし美吉田太志は、片桐巡査のようなご令嬢とこうした場で面談できことを嬉しく思っています」

「面談ではありません!これはお見合いです!」

「そうですよね、そうなんですよね…アハハハハ」

用意しといた言葉を間違えた。疲れる…。

「では、美吉田警部補が進んでお見合いを望んだと、私は解釈しても構わないんですよね」

「有り体に言えばそうなります」

「よかったです。実は気になる噂を知ってしまったものだから」

「気になる噂…とは」

「はい…。美吉田警部補は自身も属する特科車両隊爆発物処理班の藍田椎美巡査長と親密な関係であるとかないとか」

「アハハ…。そんな噂が」

バレてる!バレてる!婦警の情報網侮り難し。

「だけども、進んで私とのお見合いを望んだのですから、そうした話もただの噂話なんでしょう」

「アハハ…」

誰か助けてくれよ!
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