消えた長刀鉾(A探偵団2)

変面鉾

○京都府警本部、玄関
  
○同、本部長室、内
   電話が鳴る。
   仮眠の本部長がソファーから飛び上がる。

本部長「なんだって?とにかくもうどうしようもない。
 マスコミには極秘だ。あと3時間で巡行が始まる」

   本部長、電話を切って宙をにらむ。
本部長「またしてもやられた」

○山鉾巡行、四条通
   歩道に黒山の観光客。
   警官と役員がハンドマイクで叫んでいる。

警官「車道には出ないでください。まもなく鉾が来ます!」
役員「今年は都合により長刀鉾は最後になります!」

観光客「長刀鉾は最後らしい?」

○山鉾巡行、室町通
   山鉾巡行が始まる。
   ハイビジョンによる最高映像がつづく。

○長刀鉾の大垂れ幕に包まれた鉾
   最後に4面を長刀鉾の絵に包まれた鉾が現れる。
   『本年は都合によりお見せできません』
   の垂れ幕がかかっている。

   観光客がブーブー言い始める。
   警官と役員がなだめようとするが、
   騒ぎは大きくなる。

   とうとう数人の若者が幕を引きちぎった。
大観衆「おーっ!」
   驚きの大歓声が上がる。

   そこには天にそびえる変面人形。
   変面の大きな顔が3面に描かれ、
   後ろの面に大きく、

   『確かに長刀鉾はいただいた。怪盗変面』
   と書いてある。

○京都府警本部、玄関
   正面脇に変面鉾がある。

○同、記者会見場、内
   長机、本部長、出羽、亀山が座っている。
   記者数十人。忍者が一人後ろに座っている。

記者1「何の予告も無かったのですか?」
本部長「前の事件以来いたずら情報が多く・・」
記者1「その中に今回の予告は?」

本部長「ありました。が、いたずらだと思われましたので
 公表せず、出羽と亀山を張り込ませました」

記者2「何故公表されなかったのですか?」
本部長「そりゃあなた。あの長刀鉾が盗まれるなんて信じられますか?」

記者2「むむ。それでは出羽警部にお聞きします。宵山の夜から
 翌朝までずっと見張っておられましたか?」

出羽「もちろんずっと見張っておりました。あっ!」
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