木犀草が告げること
蘭という少女



「兄貴!」

 あたしが呼べば、兄貴はしかめっ面をした。
 折角の美人がもったいない。

「兄貴と呼ぶなと言ってるでしょう?」

 形のいい眉をよせて、兄貴は怒った顔も美人だ。
 ほんと、あたしと大違い。

 あたしはガサツで、行動も大雑把。性格もそんな感じ。

「…そーじにーさん」
「なんですか、蘭」

 にーさん、と呼べば、眉間の皺もなくなって、兄貴は笑顔を振り撒いた。
 ほんとに美人さんだと思う。

 あたしと兄貴、総司は兄妹だ。
 正確には異母兄妹。

 あたしは詳しい事情を未だ教えてもらってはないけれど、今時、何人も妻をめとることなんて珍しくもない。

 それに、血が半分でも繋がっているなら、十分だと思う。
 総司が兄貴であることには、何も変わりない。

< 1 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop