空色通信

上を向くと知らない男子がこちらを見ていた。気のきつそうな目にきちんとセットされた髪。少しだけ茶色なのは染めているのだろう。だが香奈はそんなことは何も思わなかった

「あの、今なんて?」

「バカみたいって言ったけど?」

「・・・」

あっけにとられる香奈をみてその男子はフッと笑う

「今度はアホみたいな顔してる」

「・・・」

「ケイ!」

驚いて後ろを向くとまた男子が一人こちらへきた

「またなんかしてた?それかなんかトッてた?」

その男子はいかにも人懐っこそうな目を不安そうに揺らした

「別に、なんにもしてねーよ」

ケイと呼ばれた男子はぶっきらぼうに言う

あとからきた男子はホッとしたようにやわらかく笑う

香奈がボーっとしているとあとからきた方が香奈に言った

「ごめんね。こいつ口悪いからさ。困ったでしょ?」

「あ、いえ、別に・・・」

「なんもしてねーって。よけいなこと言うなシン」

またそう言って別の車両へと行ってしまった
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