由良さんが呼んでますので






なのに



「あぁ、マリア、泣かないでくれ!俺まで哀しくなる。マリアに涙は似合わない」

「・・・・だれのせいだとおもってるんですか」



大体、私は泣いていない。変な言い掛かりをつけないでください


ああ、何でこうも変な人ばかり、周りにいるのだろう。大概、私も変なのだろうけれど、電波ではない


こんなに話通じない人間じゃないし


「マリアがそんな顔をするなら、俺はもう奴の名前を出さない。悪いな」

「・・・いえ」


電波のくせに優しいところが、勘に触る。目尻からじわりと溢れそうになる涙を、息を吐くことによって止めた


篷秀司という男は、私にとってとても危険な人物だった



この人の傍にいると、安心していいんだと感じてしまいそうで、それがとてつもなく嫌だ



変わって、しまいたくない



「細木くんに、言っておきますね。何てお伝えすれば宜しいですか?」

「マリアは何もしなくていい。近々俺から会いに行く」

「・・・・・・そうですか」


何もしなくていいって言葉自体が、信用ならないし心配するのですが。この人、理解してるのか・・・・?



いや、絶対に理解して居ない。してたら私の両手をぎゅっと握りしめることなんてするはずが無い、ええ。しないと思います


変な輩と仲良くなってしまったな、と思いつつ



「では、しゅーじさん。また何処かで」

「あぁ、マリア。すぐにでも会いに行く。教室まで迎えにいくから、明日は一緒に昼を食べないか」

「お断りさせていただきます」


腰を折って挨拶をし、来た道へと戻ろうとしたところ、不吉なお誘いが聞こえたので、間髪を入れずに遠慮させていただいた


え、なに?


それは遠慮じゃない??




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