「遺言」short love story
本当は、俺がしっかり抱き締めてやらなきゃいけないのに。


ごめんな、と言って息子達を抱き締め返す。


最後のお別れに、舞の顔を両手で包み込み、確認するように一つずつ触れていった。


長い睫毛の、悪戯っぽい瞳が好きだった。


舞が気にしてた、鼻の形も好きだった。


えくぼが出る頬も好きだった。


丸い輪郭も、小振りの耳も、形のいい額も、全部全部好きだった。


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