放送部からお伝えします

手がかりとなって。

「どうすればいいんだ……?」


草太が机にひじをついて、考え始める。

左にいる草太を少し見て、かなめはカバンから本を出した。

涙で濡れたのを必死で乾かした跡がある。


<純愛>という題名が見えないように、ブックカバーがしてある。

平気で読み始めたかなめに、草太が静かに尋ねた。



「……何してんの」


「読書感想文」


「遅いよ……」


草太は呆れ、机に寝そべった。

川岸は二人のやり取りの間、黙って座っていた。



ペラッ



草太の足元に、白い紙が落ちる。

かなめのほうからだった。



「これ……」


「あっ」


草太は紙を見つめた。

かなめがそれを必死に隠そうとする。









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