放送部からお伝えします

潜入

「ここだよな……?」


かなめが不安げに言う。


不動産に入ったのはいいが、ただの倉庫だ。


段ボールや、ほこりがかかった事務机や棚があるだけ。

誰一人として居ない。


「ホントにここなのかぁ?」


かなめはキョロキョロ目を動かすが、どこを見回してもただの倉庫。

物が置かれているだけ。



「ねぇ! あれ!」


川岸が何も置かれていない本棚を指差した。

近づいて見回してみると、本棚と壁にわずかに隙間があり、空洞になっている。

奥へと続いているようだった。


「ちょっと待ってて」


そう言って草太は隙間から手をいれ、本棚を押した。

何も中に入っていない為、簡単に動いた。


「この先に梨衣子が……」


かなめが先頭に立ち、三人はゆっくりと歩きだした。









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