お腹が空きました。



『あ…?室内、?』




あの後、紗耶は戸惑った杉崎と目が合い。


『お前、傘は…?ってか、は?なんで泣いて…』




そして何故か、




ザァァァアァァァ!


『うわっ、ちょ、…とりあえず乗れ!』



あれよあれよと言う間に、


気が付いたらこんな所に。


………


……………



「(な、な、何故にそうなった私…!)」



借りたタオルを首にかけ、未だカチコチのままの紗耶はココアに手をつけず始終下を向いたままであった。


しばしの沈黙の後、重低音が部屋を震わす。


「おい、俺の入れたココアは飲めないってか。」



「いえいえいえいただきます!!」

きらりと光る狼さんの鋭い目に紗耶はものすごい早さでカップを口に運んだ。


コクン


「…あ、美味しい…。」


ココアのちょうどいい暖かさが体にしみる。

甘さが絶妙で、それに粉っぽくなく、なめらかな口当たりが少し不思議だった。












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