知らない闇と、骸


「俺は、この百年間生きてきて。一度も親しい奴の死に様なんて見たこと無かった。」
まあ、俺が生まれたのは戦場の真っ只中だけどな。
そう言ってジロは笑った。


「妖魔ってどうやって生まれるの?やっぱり、お母さんのおなかの中?」
問いかければ、まさか!と笑われた。
「いいか。妖魔は卵から生まれるんだ。生まれたては、お前の片手に乗るくらい小さい。だけど二日もすれば、百八十センチ超えちまう。あ、妖魔には男しかいねぇよ?妖魔は人間や動物どもの負の感情が固まって出来るんだ。」
私たちの体の中にいつもある負の感情は、一つ一つ違うという。
「まあ、性格みたいなもんだな。お前の負の感情は、白色か。」

それぞれ色がついていて、重なることもあるみたい。
「感情が四つ、人間界の空中で綺麗に融合すればエルフィに。三つ、歪に融合すれば妖魔になるんだ。」
この世界の空中には沢山の感情がひしめき合ってるらしい。

「最近はさらに増えてきたな。俺たち妖魔は負の感情を増幅させる。エルフィは減少させる術を持ってやがる。」
だからエルフィの数は少ないのだという。


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