わたしのピンクの錠剤
あいかなの独白
 
あの日、俺は美智子先生と話をしていた。

昼間、あの男に逃げられた後のことだ。


彼女は聡明で魅力的な女性だし、何より俺自身しゃべるのが久しぶりだったから楽しくて仕方なかった。

時間を忘れて話していたように思う。


それなのに美智子先生は俺の気分を台無しにしたんだ。

俺が人の生き死にをわかってないとほざいた。



人を殺すってことは一生十字架を背負って生きていくことなんだよ、なんて説教をたれた。


知った風な口をきくのが許せなかった。

俺がそれをわかってないとでも言うつもりなのか。


人を殺したことも、殺されたこともない女が何を説くっていうんだ。


「わかってないのは美智子先生の方だろ」




気付くと俺は彼女の首を絞めていた。

もちろん、殺す気なんてさらさらなかった。

単に人の生き死にが何たるかを教えてやりたかっただけなんだ。

それなのに、彼女はやめさせてくれないんだ。



「本当なんだよ」って何度も何度も繰り返すんだ。


修羅場をくぐり抜けてきたこの俺に対してだよ。


 
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