わたしのピンクの錠剤
分裂
 
私はあいかなの心に手をあてた。

虚勢を張っていたその心は小刻みに震えている。

私はあんなに憎んでいたあいかなのその心を優しく包んだ。



『達哉はどうなったの?』



どこからともなく女の人の声が聞こえた。


『わからない。愛子の身体の中で死んだのかもしれないし、ふわりと飛び出していったのかもしれない』  

『どこかで生きてるかもしれないってこと?』


『ああ、なんかそんな気がするんだ。愛子だってこうやって生きてるんだ。達哉だって生きてたって不思議じゃないだろ』

『そうよね。達哉はたとえ死んでもワタシの側にいるって約束したんだもの。きっと、どこかで生きてるよね』



私は混乱していた。



『ち、ちょっと待って。あなた、誰なの?』


私はわたしでも、あいかなでもない声の主に尋ねた。



『あ、あなたこそ誰なの?」


 
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