アフターストーリー~春河家のドタバタな日常~

「椿、薬飲もうな。早く、元気になろうな。」

緑涼は、風燕から薬湯の入ったカフェオレボウルを受け取ると、右手の親指と人差し指でぎゅっと椿の顔を挟んで口を開け、そこに薬湯を流し込む。
無くなると、風燕がボウルを受け取り、薬湯をボウルに入れる。それを繰り返す。
椿の胸元に敷いたタオルの色が、時間が経つにつれて赤緑色に変わっていく・・・

その間も、風燕達がかわるがわる声をかけていった。
火燐は、声をかけながら必死に右手を握り、念を送っていた。しかし、火燐の顔が少しずつ青白く変わり始めていく・・・。

「火燐、交代するわ。」
「大丈夫だべ・・・。」
「使いすぎだ。休憩したほうがいい。」

禮漸はそういうと、左手で椿の右肘の辺りを握ると、右手で火燐の手を無理やり離す。完全に火燐の手が離れるとつかさず左手で椿の手を握って念を送っていく。

数珠の色が赤色と黄色が混ざり、オレンジ色の炎に変わっていった。

< 37 / 290 >

この作品をシェア

pagetop