君の涙にキスを ~燐&蓮編~

「あ、いけない。そろそろ、ラウンドの時間だわ。」

腕時計を見て、慌てて立ち上がる。

「じゃぁ。俺も、雪兎の顔見て帰るわ。」

「そう、気をつけて帰ってね。」

そういうと麻子さんは反対側の方へ歩き始めた。


「雪兎ぉ~。俺、そろそろ・・・嘘だろ。」

俺は、病室の中をみて唖然とした。


だって、窓が開き風がカーテンを揺らす中

雪兎が寝ているだろう、ベッドの上は

もぬけの殻、だったから。


何処に行ったんだよ。

今日は、満月だぞ――――――――

「燐君?」

俺の様子に気がついたのか、麻子さんが戻って来る。

けれど、そんな事には気が付かず

俺は、走り出していた。

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