愛のカタチ

裏と表




はたして。

生きてきて16年。

普通に生きて、普通に学校に通い、普通に友達のいる私は、普通をもっとうにしてきた。

だって普通が一番目立たなくて、一番ラクだと思うじゃない。

だから目立たないよう真っ黒な長髪に化粧っけもなく、コンタクトじゃなく眼鏡という私だ。

こんなことになるなって思ってもないじゃないか。




――キーンコーン。


今日も1日が終わりを告げる。
けれど私の1日は終わりそうにない。

それは目の前のこいつのせいだ。

にっこにこ爽やかに笑いながら、私の目の前に来た彼は、

「雨宮、ちょっと頼みたいことがあるから、職員室まで来てもらえるか?」

聞いているのに、有無を言わさないこの流れはなんだろう。

あんた、職権乱用って言葉知ってますか?

そんな風に言えたらどんなにすっきりするか。

いかんせん。
チキンだからそんなこと言えるわけがない。

まわりはいいなぁ~って雰囲気を醸し出すが、何が良いもんかっ!

ぜんぜん私は嬉しくない。

だいたい、どうして呼ばれたのか、見当が考えなくてもわかるから憂鬱だ。


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