夜籠もりの下弦は恋を知る
未来:愛してます…
〈未来〉


 今朝は天気予報に反して、快晴だった。

「今日が雨なんて嘘じゃん」

十歳くらいの男の子が家の窓から外を見て言った。

「良かったね。天気予報外れて」

「うん!」

母親に笑顔で頷き、男の子は朝ご飯を食べ始める。

「絶対見に来てよ!?オレ、リレーのアンカーだからビデオよろしく!」

「はいはい。ママもパパも楽しみにしてるからね。一位とるのよ?」

「まかせて!」


日曜日。

今日は小学校の運動会がある。

三分でご飯をたいらげた少年は、ワクワクしながら玄関へ。



「あ、ちょっと待って!潤衡(ミツヒラ)!」

「何?ママ」

自分の名前を呼ばれ、彼は振り返った。

「ほら、水筒」

「あ、忘れてた。ありがとう!行ってきま~す!」


< 169 / 173 >

この作品をシェア

pagetop