Diva~見失った瞬間から~
―――…。
「ご馳走さまでした。」
「うん。歌音、今日帰りは何時くらい?」
食器を片付ける私にお母さんは聞いた。
「今日も多分いつもと同じだよ。
予定が変わったらメールするね。」
「ん、分かった。」
返事をして再びご飯を食べるお母さん。
……我が親ながら、
人間離れした顔立ちだなぁ…。
お母さんもお父さんも…
娘のひいき目無しに顔が整いすぎてる。
「…………。」
鏡の前に立って、歯磨きをする私は、
鏡の中の自身の姿をまじまじと見た。
自分で思うのも変だけど、
私も人並みに顔は整っていると思う。
…そりゃあの2人から
残念な顔が生まれたら変だよね。
突然変異だよね。
お父さんにはお母さんに似てきたって
言われてるけど…お母さんには
お父さんに似てきたって言われたし。
両親2人とも中性的な顔の美形だから、
結局私がどっち似なのかは分からない。
……私としては、どちらでも良いけど。
お父さんもお母さんも好きだから。
「行ってきまーす。」
「あ、行ってらっしゃい。」
身だしなみを整えた私は家を出た。