君への小さな想いを掲げて *my first love*
じっと見ていると、矢杉くんが困ったように私を見下ろした。

「何、じっと見てんの?」

「あっ…えと…背、高いし、笑顔とか可愛いからモテそうっていうか…」

「ぶっ!直球すぎるわ。めっちゃ照れるし」

矢杉くんは黒い髪をぐしゃぐしゃにかいて笑った。
照れたのか私の前を歩く矢杉くん。

その後ろ姿に心無しか、見覚えがあった。

「…矢杉くん?」

「ん」

「もしかして電車通い?」

「え?あ、うん。そーだけど」

「もしかして昨日、4時くらいだったかな。駅のホームにいたりした?」

「4時?…んー。ああ、うんいたね。それがどうかした?」

「あ、いや…。もしかして真後ろのベンチに江ノ原の生徒いたりとかする?」

「江ノ原、江ノ原…。あぁ、いたね。うっさかった集団。あれ、もしかして高野瀬もいたの、そこ」

「うん。私も電車通いだから…」

やっぱり、焦って視線をそれしたときに見た男子は矢杉くんだったんだ。
…どうりで見覚えある訳だ。

「江ノ原ってこと知ってるってことは江ノ原に知り合いでもいんの?」

「や、そういうわけじゃないんだ。」

「そーなんだ…。俺、江ノ原に従兄弟いんだよなー。ちびっちゃい可愛い顔した男。」





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