君への小さな想いを掲げて *my first love*
行ってしまいそうになった光くんの腕をぎゅっと掴む。

「ま、待って…」

「ん?」


光くんは振り返った。
私はハッとして手を放す。

どうしよう…。

言葉が全く出てこない。さっき電車であんなに考えたのに…。


しばらく俯く。


何か言え、私、何か、言え。


心のなかでそう叫んでも口が言うことを聞かない。

「希凛?」


「あ…えっと…」



「あ、そろそろまずい。ごめん、電話してな。」


苦笑いして光くんはそのまま前に向き直って歩いていく。



やだやだやだ。



行かないで。



バカ、早く言え、私。



「希凛、早くしろ!」


後ろで優くんの叫ぶ声が聞こえる。



その声が私の背中を押す。








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