恋はいっぽから!








「……真っ赤だな~♪真っ赤だな~♪リナちゃんのほっぺが………♪」





「……えッ?!私?」



グランドを見つめながら、ぼうっと呆けている莉奈ちゃんが……、



くるりとこちらに振り返った。






秋うらら(?)。




校庭に舞い上がる紅葉や桜の葉のダンスを横目に見ながら……



私は、彼女をじいっと観察中。





「……ってか、ヤダ。それ…、私?」




莉奈ちゃんは私の数学のノートをひょいっと覗き込むと……。

「あちゃ~…」というような顔つきで、溜め息をついた。





ノートには、走り描きで描いた莉奈ちゃんの横顔。




「いっぽ、似顔絵師にでもなるの?」




まじまじとそれを眺めると……


更に、顔を赤くする。




「……こんな顔、してたんだ。」




「……うん。最近、結構そうかも。」



私はパラパラとページをめくって……、


ここ最近の、莉奈ちゃんを描いたイラストを見せる。




「……コラ。勉強しろよ。数学の成績悪いのってこれが原因では?」




苦笑しながらも、愁いを帯びた瞳が……、とても綺麗。





彼女をこんな風にさせているその原因。




いや……、「元凶」は……。





窓の外にある。







「……どこがそんなにいいのかしら?」




グランドには、男子生徒とサッカーをしているニシハルの姿。




そう……、



莉奈ちゃんはきっと……。




彼に恋してる。









< 15 / 1,065 >

この作品をシェア

pagetop