恋はいっぽから!
「……。俺は別に太田を騙そうとしたわけじゃない。勝手に憶測して話したのは…お前だろ?」




「…はい。だから…、私にも非があります。いえ…むしろ、謝らなきゃいけないのは…私です。でも、先生。真実は…本人の口から聞くのが、一番効果的です。今から…捕まえて来るので、待っててくれませんか?」



「今からって…、お前、もう5時過ぎだけど。」




「…えっ?!」




私は……辺りを見渡す。




窓の外は……


夕暮れ。




でもさっき…、紺野先生が言ってた。



ニシハルの所在を聞いたら…「授業に戻らせた」って……。








「………。もしかして先生…、ずっとここにいてくれたのですか?」




目を覚ますまで……、


ずっと?







「………。三船、やっぱ俺も一緒に行こうか?」





……。


あら……?


話を…逸らされた?





「……いえ、もう家に帰ってるでしょうから…、だから、明日ちゃんと話ます。」




「…なら、俺んとこ呼びに来いよ?一緒に謝るから。」




「……。そうですか、ならばご一緒に。」






差し込む西日に照らされて…、


笑うニシハルのその顔が、赤く染まっていた。






「……どーゆー答え出したか知らないけど。ホラ、このノートはお前が持ってろよ。」



彼は私に……



ベッドに落ちたノートを手渡す。






「仕方ありませんね。私は…しつこいですよ?」



「おー怖っ、ストーカー?」



「聞き捨てなりませんね。違いますよ。いつか…、先生の鼻を明かしてやるんだから。」



「……はいはい。できるもんならね。」








私は……



まだてんで、子供扱い。



彼の視界の中に入るので精一杯の……、


ただの、生徒。








三船 一歩、……17歳。






最大の天敵は、





仁志 日陽、24歳。







彼を追跡する日々は……








まだまだ、これからも……




続くのであります。







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