恋はいっぽから!







とうとう学校の近くまで来たけれど。



私はしぶとく下を向いて……




探していた。








「……嘘……、あった!!」




丁度校門の下の土からひょっこり顔を出していたのは……。



今は少なくなっている『日本たんぽぽ』。



トモヨさんを例えるなら。



華やかで、

逞しくて、

ちょっぴり珍しい…



そんな、日本たんぽぽがピッタリかもしれない。






「…何が『あった』って?」



頭上から…、優しい声が降り注ぐ。






「日本たんぽぽです!凜としてて…綺麗だと思いません?」



振り返って見上げたソコには……




ニシハルの顔。




「うん、綺麗だけど…そっちにも沢山咲いてる。」



彼は何だか不思議そうに…首を傾げる。




全くトモヨさんたら……。



何故今彼に引き逢わせるのでしょうか??



イッツ·ア·トモヨズマジック!!

…ですね。





「わかっていませんね~、先生は。総苞片(そうほうへん)を見れば一発でわかるというのに。」



「……は?(イラッ)」






「この花は…、特別なんです。」




「………。ふ~ん。てか、お前昭和スタイルは卒業したの?」



「アラ。だって私は平成女子ですもの。」



「あーそう。」



「いつの時代も……」



「ん?」



「恋する女のパワーは偉大です。」



「…………。」



「…では、ニシハル先生!また教室で…!」




「ああ。」





ニシハルが…、にこりと笑う。




それを確認すると。


私は、くるり。と…踵を返す。





今はこれで……十分。




でもね、先生。






いつか必ず、貴方に告白します。





だから………





ちゃんと、見ていて下さいね……。









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