愛のガチ契約
飴子が歯を食いしばり学校を目指しているとき、

クラスでは「ある話題」でどんちゃん騒ぎになっていた。



「おぃ、この高校へ大量寄付した金持ちが今日見学に来るってマジかよ?」

「嗚呼、らしいぜ。
なんせ噂を流したのは
あの風紀委員と新聞部。
間違いねぇだろ。
委員会と部活のコラボだぜ、コラボ。」

「なに、バカなこといってんだよ」


そして馬鹿にしたような
なんともいえない笑いが教室を包む。


「ッたく…るせぇな。男子!
でも…なんでウチらの高校にカンパなんかするんだろーな?鞠」

椅子の上であぐらをかいて髪はショートの女子が後ろの席に話しかける。

「さぁ…?でも優希。
あ、足をおろして。中が見えるわ。
この高校、歴史だけはあるらしいわ…」

「でも、そんなことより。
飴子はまた遅刻かしら」


後ろの席の女子は古臭い分厚い本をバタンと閉じ、眼鏡を静かに外した。
髪には軽いウェーブがかかっている。

ふと鞠は横を見る。

隣の席…
鈴木飴子の席は空席のまま。
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