先生に会いたい
風邪を引いても、まったく表に出さなかった先生。
私と同じタイミングで風邪を引いたとき、私にだけ弱音吐いてくれたね。
昼休みに教室で2人になったとき、『桜…やべぇ。倒れそう…。』なんて言って、私にもたれてきたっけ。
思わず、先生の頭撫でちゃったよ。
そんな風に弱音吐ける生徒、今先生の近くにいる?
頑張り屋の先生だから、心配だよ…。
でも、疲れた先生を1番癒せるのは、私ではなく、生徒でもなく、先生の家族。
先生の奥さん。
先生は私のことを女としても見てくれてない。
ただの生徒。
よくて、かわいい生徒。
もう、卒業したから生徒としても思ってくれてないかもしれないね。
2人で撮った写真を見るたび、涙が出る。
何度この頃に戻りたいと思っただろう。
この写真の中の私は、自分がその後こんなに苦しむことを知らない。
悲しくて、苦しくて、切なくて、毎晩枕を濡らした。
前に進もうと思って聴いた失恋ソングは、余計先生を思い出させた。
『これから先も、ずっと桜が俺の1番の生徒だから』
卒業式に、私を抱きしめてそう言ってくれた先生。
この言葉は何よりも宝物。
でも、時間が経った今、あの言葉は出任せだったんじゃないかって思ってしまうんだ。
これからまだまだ教師人生が長かろう先生。
たくさんの生徒と出会っていく中で、ずっと私が1番だなんてありえないよね。
あの言葉は、きっとその時の先生の優しさ。