先生に会いたい
―――キーンコーンカーンコーン……
授業終了を知らせるチャイムが鳴り響く。
「ねぇ、先生!赤ペンちょうだい!」
突然の愛梨の発言に、びっくりする私。
「ん?しょうがねぇなぁ。ほら!……あ。これつかないやつだった!」
「もぉ~!先生ってば!」
先生の広い背中を叩く愛梨。
愛梨と先生って、仲良しなんだなぁ……。
私は呑気に2人のやりとりを見ていた。
さっきの胸の痛みは、きっと気のせい。
「桜は?」
「へ!?」
先生が突然私の名前を呼ぶもんだから、私はびっくりして先生を見た。
「お前も、赤ペン欲しい?」
先生のペンケースには、何本入っているんだろうと思うほどの赤ペン。
先生だもんね。
「あ、うん!もらえるんならもらっとく!」
「何だそれ~!」
私は先生から1本の赤ペンをもらった。
それは、私の宝物になった。
触るのがもったいなくて、赤ペンはずっとペンケースの中。
私……
先生が好きなんだ。