先生に会いたい


どのくらいの時間、ここで泣いただろう。


もう日もすっかり暮れていた。

冷たい風が吹き付ける。


私は立ち上がり、よろよろと階段を下りた。


すると、私の顔に眩しい光が当たった。

思わず目をつぶる。



「桜?」



そこには、懐中電灯を持った先生がいた。



私は倒れるようにして、先生に抱きついた。


あんなに泣いたのに、涙は枯れることを知らない。



「おい!桜!?お前、何でこんなとこにいるんだよ!」



先生は、抱きつく私の肩を掴み、ゆさぶった。



「せんせ……。もう学校来たくないよぉ……。」



そう言うのが精一杯だった。


先生は私のその言葉を聞くと、もう私に何も聞かなかった。



「また何かあったな…。もう見回り終わったから、ここで待ってろ。送ってくから」



先生は私を抱えて、そっと階段に座らせると、どこかへ走っていった。



ごめんね、先生。


いっぱい迷惑かけて、ごめんね……。


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