先生に会いたい


「あ!お前何笑ってんだよぉ!」



先生がちょっとスネた顔で私を見る。


かわいい、なんて思っちゃってる私。



「で、サボった理由は?」



憎めない笑顔で、私に問い直す先生。


私は口を尖らせて、下を向く。



「先生が怖いから……」



私がそう口にした途端、先生は大きな声で笑い出した。

突然の大声にびっくりして、またもや硬直する私。


笑い声は初めて。



「俺ぇ!?別に怖くねぇよ!まぁ怒る時は怒るけどな!」



怖いよ。


先生の言葉に、心の中で反論する。



「部活のときとか怖いもん!」



私は少しずつ、本音を口にする。


先生はまた笑い出す。



「だってサッカーん時は別人だもん!授業は優しいから来いよ!」



その先生の言葉にすごく笑えた。


なんてフレンドリーな先生なんだろう。


長年の先生の印象が、がらりと変わる。



先生を慕う卒業生たちの気持ちが、少しだけ分かったような気がした。


< 8 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop