dear 青空の下の君へ

体育祭の練習

次の日。

体育の時間、放課後を使った体育祭の練習が始まった。

「今日は百足の練習すっぞー」

解説しよう。

百足とは、

10人でまず二組になって隣の人と二人三脚の様に足を結びます。

そのあと縦に並び、前の人から順に右の人は、右足を前の人たちと紐でつなぎます。

左の人は左足を同じように結びます。

それで歩きます。

走ります。どこのクラスが一番速いか競います。

3年、2年、1年。

うちの1年C組は…


まず、体育の特攻隊長神楽坂大悟。

続いて陽日夕哉。

それで、成希。

なぜかメンバーに入れられた私。

そして、学級委員長の武田侑希ちゃん。

クラスのマドンナ、瑞月亜衣ちゃん。

一彦くん、海都くん、真咲ちゃん、瑠那ちゃん。

「とりあえずペア決めようよ」

「そうだなーま、適当に別れちゃって」

「あ、亜衣ちゃん」

「ごめんね、透ちゃん私真咲ちゃんと組むから」

「瑠那ちゃん、」

「私侑希ちゃんと組むからごめんねー」

「透ー!」

「夕哉くん組まない?」

「無視すんなよ透!」

「ごめんね、俺大悟と組むから」

「そっかー」

「透、俺と組まない?」

「…成希と?だって、私とあからさまに15センチ以上差あるじゃん」

「大丈夫だって、二人三脚やるわけじゃないんだし!」

「…わかった、いいよ」



そして百足をやるにおいてついてくる試練がある。


「せーの!」

神楽坂くんの合図で走りだす。

「うわっ!」

誰かが転んだらしく、みんなが思いっきり前に倒れる。

「大丈夫かー?」

「透大丈夫?」

「大丈夫」

そっと手を差し伸べる成希。

こういう所はかっこいいんだよな。


「1、2!1、2!」

掛け声を合わせて、

「がんばれー!!!」

走り切った。


「お疲れ様ー」

「瑠那大丈夫ー?」

「夕哉大丈夫かお前」

なんて所々笑いが起こる。

それどころじゃない、

本当にそれどころじゃない。

「透帰ろー」

「うん、今行く」

みんなの足を結んでいた紐を袋に戻す。

「明日も頑張ろうね、透ちゃん」

「うん、頑張ろうね、真咲ちゃん」

「早くー」

「それじゃ、」

「遅いよ」

「ごめんごめん」

「今日は?放課後図書室寄ってくのか?」

「今日は家帰るよ。疲れたし」

「そっか、送るわ」

「ありがとう」

本当にそれどころじゃないんです、

更衣室に向かい着替え終わり靴下を脱ぐと、

やっぱりごっそり足首の皮がむけてた。

5cmぐらいだけど。

「保健室行かなきゃ…」

「おっせーよ」

なんで女子更衣室の前で待ってるんだよ、成希。

「教室戻っぞ」

「あ、待って先行ってて」

彼に心配はかけたくない。

「なんで」

「職員室行ってから教室行くから」

「じゃあ俺も行く」

「…はぁ…うん、じゃあ保健室行くね」

「何、怪我したのか!!!!?」

「うん、ちょっとだけだよ」

「大丈夫なのか、」

「大丈夫だから先、…ってなんで泣いてるんですか」

「だって、痛いんだろ…?透が怪我してんのに気づけなくて、」

「大丈夫だから泣かないで」

「…うん、」

「ほら、一緒に行こう」

「…うん、」


もしかしたら泣き虫なんですか、成希は。
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