誰も信じない

ぬくもり

しばらくして、新田さんが抱きしめていた腕を離した。


「ごめんな。つい…。」


「びっくりしたけど大丈夫。」


「お父さんの具合が悪いから、お見舞いに行かないと親不孝になるって気持ちがあるんだろ?でもまだ橘さんの中では、お父さんを許してないから、お見舞いは行く気持ちになれない。その二つの気持ちがぶつかって、どうしたらいいのかわからなかったんだろ?」


すごい。何でここまで的確に私のことをわかるの?

新田さんの言う通りに、親のお見舞いに行かないのは、『親不孝』なんだって気持ちがある。でも父をまだ許してないの。





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