誰も信じない

ハンカチ

ハンカチはほんのりいい香りがした。


「俺と同じだって言っただろ?だからわかるんだよ。」


「新田さん、質問してもいいですか?」


私はずっと気になっていたことを聞いてみた。

今の私は『誰も信じない』から、『誰かを信じたい』に変わっていってるのに気づいたから。

でも実際信じたくても、誰を信じたらいいかはまだわからない。


「ん?なに?」


「新田さんはどうやって、人を信じることができるようになったんですか?」


新田さんはグラスの残りを全部飲み干した。


「そういう気持ちがあれば大丈夫だよ。」





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